江戸時代から続く江戸小紋は、型紙を用いた精緻な染色技法です。複数のモチーフをランダムに配置する「けれんもの」と呼ばれる図案は特に高度な技術を必要としますが、着物市場の縮小や職人の高齢化により、新作づくりがほぼ途絶えていました。

高島屋と文京学院大学による「令和小紋プロジェクト」は、この危機に対して新しいアプローチで挑戦しています。文京学院大学が開発したAIが、過去の江戸小紋作品から職人の図案構成の考え方を学習し、新しいモチーフの配置案を生成。その案をもとに、型紙職人と染色職人が監修・調整することで、一つの作品として完成させます。AIが職人に代わるのではなく、職人不足を補うツールとして機能する仕組みです。

誕生した新柄は「オーケストラ」と「葡萄と栗鼠」の2種。約1年の試行錯誤を経て、伊勢型紙の「錐彫り」技法で型紙を制作し、型付けとしごき染めで丁寧に仕上げられています。一部はバイカラー仕様で、日本の伝統色で色付けされています。