欲しい雑貨を見つけます。形も好き。サイズもちょうどいい。価格も、まあ大丈夫。あとは買うだけ。

……と思ったところで、

「カラーを選択してください」

が出てきます。白。ベージュ。ブルー。グリーン。はい。ここから長いです。

白なら間違いない

まず白を見ます。やっぱりいい。清潔感がある。今の部屋にも合う。ほかの雑貨とも喧嘩しない。白にしよう。

かなり合理的な判断です。ほぼ決まりました。

そこで、念のためベージュを押します。……。ベージュもいい。むしろこっちのほうが好きかもしれない。

白に決めたのは、だいたい20秒前です。

ベージュには、妙な安心感がある

ベージュを見る。やさしい。木の家具にも合いそう。白ほど「新品です」という感じもしない。最初から家にいたような顔をしています。

これかな。ベージュにしよう。今度こそ決めました。

そこで商品画像を横へ送る。ブルーが出てきます。あ。ブルー、かわいい。

突然現れるブルーに弱い

こういうときのブルーって、ずるいんですよね。鮮やかな青ではありません。少しくすんでいる。ちょっとグレーが入っている。

名前も、「ダスティブルー」とか、「スモーキーブルー」とか。急に魅力的です。

白とベージュで安全運転していたところへ、

「たまにはこういう色もよくない?」

と言ってきます。よくないわけがありません。

部屋の中に置いたところを想像し始める

ここからが本番です。白を置いた場合。ベージュを置いた場合。ブルーを置いた場合。頭の中で三回、模様替えします。

白なら棚に馴染む。ベージュなら木のトレーと合う。ブルーならちょっとアクセントになる。

しかも季節まで考え始めます。春ならブルーもいい。でも秋になったらベージュがよさそう。白なら一年中いける。

ものすごく真剣です。選んでいるのは、たとえば1,500円のティッシュケースだったりします。

商品の機能は、もうあまり見ていない

最初はちゃんと確認していました。サイズ。素材。お手入れ方法。レビュー。

でも色選びに入ったあたりから、機能の話はほぼ終わっています。写真を行ったり来たり。白。ベージュ。ブルー。白。もう一回ブルー。

同じ商品を何回見たら気が済むのでしょう。

自分でも分かりません。

レビュー欄で色について書いている人を探す

そしてレビューへ行きます。目的は商品の性能ではありません。「ベージュを購入しました」という人を探します。

いました。「写真より少しグレー寄りです」なるほど。これは重要情報です。

次にブルー購入者。「落ち着いた色で部屋に馴染みます」なるほど。ますます決まりません。

助けを求めてレビューを見たのに、

候補が全部強くなって帰ってきました。

家にあるものまで確認しに行く

WEBショップを見ながら、一度立ち上がります。部屋へ。棚を見る。今使っているマグを見る。カーテンを見る。

「うちは思ったよりベージュ多いな」と気づきます。じゃあブルー?でもブルーだけ浮かない?白なら?白はもう多い。

ここまで来ると、最初に何色が欲しかったのか分からなくなっています。

たぶん、効率だけ考えたら無駄な時間です

白でいい。最初にそう思ったなら、白を買えばいいんです。生活上、特に問題はありません。ティッシュは出ます。マグなら飲みものは入ります。時計なら時間は分かります。何色でも機能は同じです。

だから効率だけで考えれば、色違いを15分も眺める必要はありません。でも、

必要がないからこそ、楽しいのかもしれません。

「どれでもいい」ではなく、「どれが好き」を考える時間

日常には、あまり迷わなくていいことがたくさんあります。電車。仕事。手続き。ゴミの日。好き嫌いより、正しいか。早いか。便利か。で決めることも多い。

でも雑貨の色くらい、「どれが一番好きかな」と考えてもいい。正解はありません。白を選んでもいい。突然黄色にしてもいい。

純粋に「好き」で迷えることって、案外ぜいたくです。

迷っているうちに、自分の好みも少し見えてくる

色違いを何度も見ていると、自分の好みにも気づきます。私は白を選びがち。でも本当は少しくすんだ色が好き。グリーンを見ると毎回止まる。ピンクは服では選ばないのに、雑貨だと好き。黒はかっこいいと思うけれど、結局買わない。

そんな傾向が出てきます。一個の商品を選んでいるだけなのに、

小さな好み診断をしているみたいです。

結局、最初に見た色を買うこともある

そして20分後。白。ベージュ。ブルー。グリーンも一応見た。写真も全部見た。レビューも読んだ。家の棚まで確認した。

その結果。白を買います。最初と同じです。

では、途中の20分は何だったのでしょう。無駄だったのでしょうか。私はそうは思いません。白、やっぱりいいな。と確認できました。それでいいんです。

買わずに終わる夜だってある

もちろん、散々迷った結果、買わないこともあります。今日は決められない。お気に入りへ入れて終了。それでも楽しかった。

白かな。ベージュかな。いやブルー。と考えている間、頭の中では、何度も小さな模様替えをしています。

実際の部屋は一ミリも変わっていません。でも気分は結構遊んでいます。

だから今日も、色違いを全部見る

WEBショップで商品を見つける。いいなと思う。そしてカラー展開を見る。白。ベージュ。ブルー。四色目もある。見ます。もちろん全部。

効率はよくありません。最短距離の買い物でもありません。でも、どの色にしよう。どこに置こう。うちにはどっちが合うかな。と考えている時間まで含めて、私は雑貨の買い物が好きなんだと思います。

買うものを選んでいるようで、実は好きな暮らしを少しずつ選んでいる。

だから今日も、最初から白に決めていたとしても、とりあえずベージュも押します。そしてブルーも。念のため、グリーンも。